
母娘、感動の再開に思わずもらい泣き
M子さんから「実母を探して欲しい」という依頼を受けたのは、98年10月頃のこと。
更に、「家族には知られないようにして欲しい」というので話を聞いてみると、
「父を怒らせたくないし、今の母にもいやな思いをさせたくない」との答えが返ってきた。
M子さんの父親は、M子さんが物心つく前に彼女の実の母親と離婚し、現在の母親と再婚していたというのである。
M子さんが事実を知ったのは、中学2年生の時。現在の母親の連れ子である3歳年長の義兄から聞かされたのだった。
薄々は気がついていたものの、やはりショックではあり、憤りを覚えながらこのことを父親に尋ねると、逆にひどく
怒りだしてしまったので、それ以上たずねて聞くことが躊躇され、そのまま現在に至ってしまったそうである。
M子さんは現在26歳。おなかには新しい生命を宿している。自分が母親になるにあたり、一目だけでも
本当の母親に会いたいという思いから今回の依頼を決心したという。
情にほだされる格好で依頼を受けたが、調査は難航が予想された。
なんと言っても家族には秘密ということなので、手がかりが極端に少ない。
そこで我々は、まずM子さんの父親の謄本を洗うことから調査を開始。
そこからM子さんの実母の名前と、実母の父親の住所が判明した。我々はすぐにこの実母の父親を訪ねた。
しかしそこはすでに引き払われていて、父親の姿はない。転居届けを追っていくと、実母の父親はすでに
この世の人ではなくなっていた。調査の糸はここでぷっつりと途切れてしまったのである。
報告を待つM子さんのことを考えると、ここで諦めるわけにはいかない。
我々は父親が最後に暮らしていた住居の周辺において、徹底した聞き込みを行った。
しかし、中々収穫は得られず、徒労に終わる日々が続いた。
何も出てこないのではないか?ふと頭をよぎるそんな思いを振り払い地道な努力を続けた我々は、
遂に有力な情報を手に入れた。
実母の姉が近隣のマンションに暮らしているらしいというものだ。
早速、該当マンションの部屋を一軒ずつ当たり、実母の姉を発見。実母の仕事先を教えてもらうことに成功した。
すぐに連絡を取ると、実母の方でもM子さんのことがずっと気にかかっていたという。
我々は早速都内のホテルで2人の対面をセッティングした。お互いに相手の身を思いながら過ごした永い年月が、
ようやくに氷解しようとしている。嬉しさと同時に戸惑いを覚えながら再会した母娘に言葉は必要ではなかった。
抱き合いながら涙を流す2人の姿に、同席していた我々までもが、いつしか涙ぐんでいた。感動の結末であった。
探偵という仕事もまんざら捨てたものではない・・・
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